無料転職支援サービス


40歳以上の先生から、お問い合わせの多い求人を厳選いたしました。






40歳以上の医師募集情報を探している方に、無料でご提供しています。




40代の転職事例

50代の転職事例

60代の転職事例


医師転職情報を、探している方をメディウェルはサポートし続けます。



医師のキャリアをとりまく環境・未来
多摩大学医療リスクマネジメントセンター教授:真野 俊樹先生によるコラム 。
毎月 1日更新

医師と医療経済

真野先生

医師転職ドットコム

医師のキャリアをとりまく環境・未来

真野医師

真野 俊樹

1987年名古屋大学医学部卒業。医師、医学博士、経済学博士、日本内科学会専門医、MBA。臨床医を経て、95年9月コーネル大学医学部研究員。外資系製薬企業、国内製薬企業のマネジメントに携わる。その後、昭和大学医学部(病院管理学担当)専任講師を経て、現在、多摩大学医療リスクマネジメントセンター教授。

医師と医療経済 第10回

給与を考える

前回少し、話が堅かったと思いますが、今回は少しやわらかくというか、皆さんの日常生活に直結する内容、すなわち給与の話を考えて見ましょう。

実は、経済学や経営学では給与の話は大きなテーマなのです。

給与の考え方

給与の金額の決め方にはさまざまな考え方があります、なおここで言う給与とはいわゆるボーナスを抜いた、月々の決まった額の給与をさします。

この給与については、生活の原資であるという考え方が、日本では大勢をしめます。

つまり、従業員の生活を支えるのは企業のつとめ、そのために給与というものはむやみに減らしたり、従業員をリストラすることはよくない、という考え方です。

アメリカでは違います。よく話題になりますように、米国の野球選手は高額な年棒をとっています。これは野球選手に限りません。

アメリカでは、現在、経営者の平均的報酬は年1200万ドル(約15億円)で、これは10年前の6倍以上、生産労働者の平均収入の400倍以上といいます。つまり、生産労働者が一年働いて獲得するより以上の報酬を、経営者は1日で手にしているのです。マルクスのような、労働が価値の源であるという労働価値説からすれば、全く想像もつかない話でしょう。

予断ですが、労働価値説は、マルクスが始祖ではありません。イギリスの医師であり経済学者であった、ウィリアム・ペティ(William Petty、1623年5月27日 - 1687年12月16日)が始祖です。ペティ政治算術派の先駆となったことから、統計学の始祖ともいわれます。医師の思考パターンは、やはり科学と自分の行った行動(診療)についての価値を考えるのだな、と400年近く前のことですが感慨深いものがあります。

しかし、この労働価値説は葬り去られようとしています。

日本でも、最近における高収入の代表としては、株式や債券、外貨の取引、いいかえれば資本市場によって高収入を得る方々が増えてきています。これはいままでには、なかったタイプで、昔で言う不動産の長者に近いタイプになります。

実際に、資本市場を使って高収入を上げることは、たやすいようで難しいのです。現実に、ホリエモンにせよ、多くの方々は、一時のあだ花に終わっているようです。これは国内外を問いません。

イチローはなぜ高収入か

話が変わります。一方のイチローはどうでしょうか。この場合には生産性が高いという見方とイチローの価値が希少であるという考え方が当てはまると思います。

生産性の定義はいろいろありますが、普通は投入した資源に対する成果を考えます。OECDでは生産性を「産出物を生産諸要素の一つによって割った商である」と定義しています。サービス業の場合でしたら、人が介在する要素が大きいので、サービス提供量を総労働時間で割り算したりします。

厳密な定義としては、生産性とは、投入量と産出量の比率をいいます。投入量に対して産出量の割合が大きいほど生産性が高いことになります。

投入量としては、労働、資本、土地、原料、燃料、機械設備、などの生産諸要素が挙げられます。産出量としては、生産量、生産額、売上高、付加価値、GDPなどがあります。因みに、通常、生産性というと、労働を投入量として測った生産性(労働者1人1時間あたりの生産性である労働生産性を指すのが一般的です。

となると、イチローの行動が生産性が高いのか、という議論で納得がいかない方も多いかもしれません。

ここで、経済学では希少性という概念をもって説明します。

労働の商品化を前提としましょう、簡単に言えば労働力をお金で買えるという前提をおきます。これを前提にすれば、読者の皆さんの収入も、ものやサービスの価格と同じように考えることができます。

さて、経済学では、価格に対する考え方を2つ持っています。ひとつは需要と供給、すなわち市場によって決まるのだ、という考え方、もうひとつは、原価によってきまるのだ、という考え方です。

ものに関しては、供給量を調節することが容易なので、需要増減しても比較的価格による調整がおきにくいのです。すなわち、費用であらかじめ原価分をみこしていますので、価格はそれ以下にはならない。また供給がある限りは、極端に高くもならないのです。

これは、パソコンなどで多少の価格の上下はあっても、値段があまり差が出ません。これは1時的に、需要が多くなっても、すぐに供給が追いついてしまうからです。

なお、技術の要素で値段が下がる場合もあります。これは費用自体が技術革新でさがったと考えます。かつての電卓や最近の液晶テレビがその例ですね。

一方、需要と供給で価格が決まるものは何か、といえば、ものでは農産物です。キャベツなどの取れ高が下がると急に値段が上がります。あるいはサービスです。

こういったことを指摘しているのは、カレッキという経済学者ですがいまでは、サービスのほうがこの考え方に当てはまるといわれます。すなわち、イチローの作り出すエンターテイメントは、イチローしか作り出せません。すなわちきわめて希少性が高い。サービスは人に依存するのでサービスでは、医師への指名が入ったりするのがこれですね。

こういった点では、芸能人のギャラが私たち学者より高いこともうらづけられます。手間、いいかえれば費用という点では学者は多くの本を読んでいますし、論文も書いています。その上での発言なので手間や費用は多いのですが、ギャラは安い。

これは、普遍性の差ということで理解できると思います。すなわち、学者は専門性が高いので、イチローや芸能人の方々に比べると多くの人からの需要が少ないという見方ができるのです。

<< |10|1112131415161718192021222324 >>