無料転職支援サービス


40歳以上の先生から、お問い合わせの多い求人を厳選いたしました。






40歳以上の医師募集情報を探している方に、無料でご提供しています。




40代の転職事例

50代の転職事例

60代の転職事例


医師転職情報を、探している方をメディウェルはサポートし続けます。



医師のキャリアをとりまく環境・未来
多摩大学医療リスクマネジメントセンター教授:真野 俊樹先生によるコラム 。
毎月 1日更新

医師と医療経済

真野先生

医師転職ドットコム

医師のキャリアをとりまく環境・未来

真野医師

真野 俊樹

1987年名古屋大学医学部卒業。医師、医学博士、経済学博士、日本内科学会専門医、MBA。臨床医を経て、95年9月コーネル大学医学部研究員。外資系製薬企業、国内製薬企業のマネジメントに携わる。その後、昭和大学医学部(病院管理学担当)専任講師を経て、現在、多摩大学医療リスクマネジメントセンター教授。

医師と医療経済 第17回
  (海外の医療と医師 Part5

今度はイギリス

前回はフランスの医療と医師をみてきました。

引き続き、他国の医療を覗きながら医師の立場を考えて見ましょう。今回はイギリスです。

イギリス

 

イギリスは世界に先駆けて産業革命を達成した国です。また「ゆりかごから墓場まで」、という言葉に代表される高福祉の国でした。
19世紀始めのナポレオン戦争後は七つの海の覇権を握って世界中を侵略し、カナダからオーストラリア、インドや香港に広がる広大な植民地を経営していました。18世紀の産業革命以降、近代において世界経済をリードする工業国で、造船や航空機製造などの重工業から金融業やエンターテイメント産業に至るまで、様々な産業が盛んでした。しかしイギリスの世界覇権は第一次世界大戦までで、19世紀後半からはアメリカ合衆国、ドイツの工業化により世界的優位は失われた。二度の大戦を経てその後はアメリカが強大国として台頭していきます。その後、階級社会の伝統が根強いこともあって経済の停滞を招き、1960年代以降は企業の倒産やストが相次いで「イギリス病」とまで呼ばれる不景気に苦しみます。その後が、医療関係者には評判が悪い自由主義を唱えた保守党サッチャー氏の改革へと続きます。現在イギリスはEUとG8の一員であり、国内総生産(GDP)で世界で6番目、ヨーロッパではドイツに次いで第2位、(2005年)、GDP(2005年)は世界第4位の2兆2,950億ドルです。
このような国の社会保障ですが、エリザベス2世第二次世界大戦直後、労働党のクレメント・アトリー政権が「ゆりかごから墓場まで」をスローガンに、国家予算を大胆に福祉に投入した1970年代には世界有数の福祉国家になりました。
イギリスの公的医療保障としては、1911年に健康保険が始まりました。これは低所得者層のみに適応されるものだったので、高所得者層や中所得者層は、自費や組合共済を行っていました。第一次世界大戦、大恐慌を経て低所得者層の健康保険の適応もれが頻出し(被保険者の家族が多かった)、1940年のベバリッジ報告の際、健康保険を補完し、全所得者層に適応する形で、イギリス人の誇りであるNHSが制定されたのです。

 

シッコ

今話題になっている映画に、マイケル・ムーア監督の「シッコ」があります。まだみられていない方もあるかもしれませんので、あまり詳細には立ち入りませんが、本連載でも最後のほうにふれようかと思っている、米国の医療についての批判の映画です。
彼の批判は、主に保険制度がない点に眼が向けられていますが、その途中で医師の話題が出てきます。その中に、英国の医師の話題が出てくるのです。
米国と対比しようとして作られたと思うのですが、この映画の中に出てくる医師は、アウディに乗り、1億円以上の邸宅に住んでいます。年収は2000万円以上とか。
英国の医師はそんなに幸せなのでしょうか。半分は本当で半分は?です。
私自身は、英国には住んだことはないのですが、仕事などで結構な回数を訪れています。
まず気をつけなければならないことは、円換算した給与はその国の経済力を反映しているということです。

 

英国の経済危機

 

1990年代前半には英国は経済危機を迎えました。今流行のファンドもそれに乗じたのです。ポンドはその後も1995年まで減価を続けました。つまり、円高になったわけです。
しかし、1995年以降は急速に経済が回復し、2007年6月現在の交換レートでは1ポンドが日本円約240円~246円に、その後7月に入ってからは一時251円になっています。
物価も高い、ということになります。たとえば、英国の地下鉄は、距離に関係なくゾーン1内であれば£3(1ポンド=250円のレートで約750円)、ゾーン1と2をまたぐ場合£4(1ポンド=250円のレートで約1000円)です。初乗りが750円ということです。
イギリスの経済専門誌『エコノミスト』(The Economist)によって考案されたビッグマック指数(Big Mac index)というものがあります。これは、各国の経済力を測るための指数で、マクドナルドで販売されているビッグマック1個の価格を比較します。2007年9月現在日本は280円、2,29ドル、イギリスは4.01ドル、米国は3.41ドルですから物価が日本の2倍近いと考えていいでしょう。
 つまり、2000万円以上といっても国内で消費している限りは、さほど豊かでもないはずです。もうひとつよくわからなかったのが(DVDになったら確かめるつもりですが)、この医師が勤務医か開業医(GP)かはっきりしなかった点です。
開業医のようではありましたが、NHS病院に勤務しているようでもありました。
1部の勤務医は高給です。すなわち、民間保険加入の高収入患者を診察している医師たちです。また、開業医でもハーベイストリートのような、自由診療クリニックが並んでいる場所もあります。
 まず、この医師は、そういった医師ではないかという可能性があります。
 参考文献に挙げましたが、医師の待遇がわるいからこそ、イギリスは海外から医師を輸入する羽目になったのです。

 

P4P(Pay for performance)

 

この動きを唯一変えるものとして、NHSが2004年に導入したP4Pがあります。開業医(GP)は10の慢性疾患や組織的ケア、患者満足に関連する146の指標に対してのボーナスをもらえます。ブレア首相の方針で、医療費が上げられているイギリスではスタッフや新しい技術に投資する余裕がありました。このプログラムに加わった8000人の医師は平均で500万くらいの追加収入があったといいますし、映画でこの医師もP4Pに言及していましたから、もしかすると映画に出ていた医師もこの大きなボーナスをもらった医師であったかもしれません。ポンド高を勘案すれば、2000万越えもないことはないでしょう。
なお、P4Pの臨床面での代表的な指標は心臓病の患者にコレステロール値を測定しているか、組織の指標としては、スタッフの教育をしているかとか、患者にリーフレットを渡しているかといったそんなに難しくないものです。

 

参考文献
森宏一郎 医師を輸入するイギリス 2002年 日医総研 リサーチエッセイ

 

<< 10111213141516|17|18192021222324 >>