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医師のキャリアをとりまく環境・未来
多摩大学医療リスクマネジメントセンター教授:真野 俊樹先生によるコラム 。
毎月 1日更新

医師と医療経済

真野先生

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医師のキャリアをとりまく環境・未来

真野医師

真野 俊樹

1987年名古屋大学医学部卒業。医師、医学博士、経済学博士、日本内科学会専門医、MBA。臨床医を経て、95年9月コーネル大学医学部研究員。外資系製薬企業、国内製薬企業のマネジメントに携わる。その後、昭和大学医学部(病院管理学担当)専任講師を経て、現在、多摩大学医療リスクマネジメントセンター教授。

医師と医療経済 第18回
  (海外の医療と医師 Part6

 

 

今回は、再びヨーロッパからアジアの国、台湾に移りましょう。台湾はとても日本に似ています。

台湾という国

 

台湾が親日的であることは良く知られています。実際、ある程度以上より上の年齢層は日本語を話しますし、若者も片言の日本語を話す人は多いです。
  面積は3万6千平方キロメートルと、九州よりやや小さく、人口は2290万人(2007年6月)です。台湾最大の都市は北部盆地に位置する台北市であり、1949年以降は中華民国の首都機能を果たしています、人口は263万人、第二の都市の高雄は152万人で、人口の大都会への集中度は、たとえば人口の5分の1が首都に集中している韓国などに比べと少ないです。
  GNPは3,660億米ドル(2006年、行政院主計處)、.一人当たりのGNPは16,098米ドル(2006年、行政院主計處)と高く、経済における日本との結びつきは強いです。たとえば、日本の新幹線の信号・車両技術を導入した台湾高速鉄道(台湾新幹線)も台北〜高雄間に運行中である。外形のほとんどが新幹線と同じです。なお、最高速度は毎時300km近くで走行しています。

 

台湾の医療制度と医療事情

 

台湾では、対GDP比の医療費が、2005年で6.16%と、さほど高くありません。平均寿命は、男性73.7歳、女性 79.8歳です。
  病院数は、542で私的病院が85%を占めています。公立病院は79病院しかありませんが、台北市立病院のように統合によって10病院を経営しているグループもあります。また、総計のベッド数は12万であるので、日本に比べるとかなり少ないです。なおベッド数では、公立が総ベッド数の30%を占めるようになるので、公立は相対的に大きな病院が多いことになります。
  一方、後述するチャンガン記念病院グループのようにグループのベッド数が8000以上の病院もあるので、寡占が進んでいるといえましょう。
  診療所は2006年に17700あり、人口を考えると日本に匹敵する数といえます。実際に台北市などをあるくと、医院の看板が非常に目に付きます。
  台湾の医療制度は日本の医療制度の影響を色濃く受けています。まず、国民皆保険があります。これは1995年に導入されました。
 医師は原則病院による雇用で、米国やシンガポールやタイの民間病院のような仕組みを採っていません。医師数は日本より少なく、権限が強い印象でした。
  また、病院、診療所を問わずフリーアクセスです。したがって、病院の外来数も多く、これも日本の医療を髣髴させる点です
  保険は健保局1つに統一されていますが、保険の仕組みは日本とほぼ同じです。
  保険料は、仕事の形態によって異なります。たとえば、普通の会社の従業員の場合には政府が10%、会社が60%、本に恩が30%の保険料を支払います。貧しい人は全額政府負担です。
  支払いには自己負担が伴うところまでは、日本と似ているが、紹介のあるなしで自己負担率が異ったり、病院の機能によって自己負担率がことなるなど細かく仕組みを変えています。病院は3つのカテゴリに分けられます。大学病院などのアカデミックメディカルセンターがその頂点で、その場合には自己負担は紹介状がないと10%、あれば6%になります。地域の中核病院では、同じように、7%と4%、地域病院やクリニックでは、同じように2%と1.5%になっています。ただし、お産や、重病、退役軍人や、3歳以下の子供などには自己負担はありません。
  また、入院期間の長さによっても自己負担が変わる仕組みも導入されています。なお、平均在院日数も2002年で9日弱と短いです。 病院への支払いについては、包括予算製の元で診療行為に対する支払い方式がおこなわれているので、医師の診療行為(検査、画像など)は多くなりがちです。1部に医療の質を反映した支払い方式も行われているようでした。
  一方患者の医療に対するコスト意識は低く、後発品を選ぶ、といった意識もないようです。ただ、患者はICチップがついた診療カードを持ち、病名や画像診断の履歴、手術の履歴などが保存されています。
  多くの病院を見学したわけではないので、完全なことはいえませんが、医療機関同士の競争が相対的に少ない感じがしました。

 

台湾の医療制度と医療事情

 

今回、話を伺った、チャンガン記念病院グループは、総ベッド数8000を越え、中国本土に進出したり、高齢者施設に進出したり、予防に進出したりしている巨大病院グループである。そのほかにクリニックも持っています。
 このうち、台湾近郊の林口にある最も大きい病院では、ベッド数は3800ベッド、手術室が90という巨大さで、1日の外来患者は13000人、救急患者は1日300-400名という。イメージとしては少し古い大学病院といった感じでした。実際に病院は外来患者でごったがえしていましたし、医療の様子も、点滴をしている患者さんが、点滴室に並んでいたりして、かつての日本を思わせるような光景でした。
 日本では、特に後期高齢者における、「かかりつけ医」の役割が論じられ、フリーアクセスに対する修正の議論が起きてきています。筆者が、ノスタルジックな気持ちになったのもそのためかもしれません。直接、医師の勤務状況を聞くことはできませんでしたが、忙しいけれど収入も悪くないようでした。
  経済力もかなりあり、生活水準もアジアの中ではかなり高い台湾です。医療のレベルもそこそこに高いと考えられます。台湾でも高齢化が進みつつありますが、日本のほうが、財務上や高齢化において少しすすんだ部分があるので、今後の交流が期待されるといった印象を持ちました。

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