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医師のキャリアをとりまく環境・未来
多摩大学医療リスクマネジメントセンター教授:真野 俊樹先生によるコラム 。
毎月 1日更新

医師と医療経済

真野先生

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医師のキャリアをとりまく環境・未来

真野医師

真野 俊樹

1987年名古屋大学医学部卒業。医師、医学博士、経済学博士、日本内科学会専門医、MBA。臨床医を経て、95年9月コーネル大学医学部研究員。外資系製薬企業、国内製薬企業のマネジメントに携わる。その後、昭和大学医学部(病院管理学担当)専任講師を経て、現在、多摩大学医療リスクマネジメントセンター教授。

医師と医療経済 第19回
  (海外の医療と医師 Part7

韓国

前回の台湾に続き今回は、台湾より身近な国である韓国について2回に分けて考えてみましょう。
韓国は面積が9万9373km2、人口4730万人(韓国観光公社調べ)の国ですが、首都であるソウルに1100万人の人口が集中している点に特徴があります。簡単に言えば、人口の約4分の1がソウルにいる一極集中国なのです。日本も、首都圏への人口集中が問題になり、かつては首都移転といったことが話題になりました。それ以上の人口が集中しているのが韓国であると考えてもらえばいいでしょう。そのために病院もソウルに集中しています。
  少し前の「冬のソナタ」略して冬ソナのブームによって韓国情報も多くはいってきています。実際に韓国を訪問された方も多いかもしれません。そのときにお感じになられたと思いますが、韓国は若い国です。高齢化率がかなり低いです。
  ちなみに韓国の医療費は、対GDPあたりで6%あたりですが、伸びが大きく、1994年から2004年では、日本が2.4%成長したのに対して、11.3%の成長をしめしています。また、病院数は民間病院が90%を占める点は、日本より民間が中心といえましょう。

韓国の医療制度

さて、韓国を見ていくうえで注意すべき点は、韓国の医療制度が日本とアメリカの両方から学んだものであるということです。以前に述べたシンガポールは、英国の植民地であったこともあって、アングロサクソンの影響が強い医療制度でした。たとえば、株式会社病院が存在し、メディセーブといわれる自己責任型の貯蓄制度が社会保障の仕組みでした。この仕組みは社会連帯の仕組みである社会保険とは性質を大きく異にします。
  医師も株式会社病院では米国流のオープンクリニックで、自分の稼ぎは自分でもらうという仕組みでした。しかしながら韓国はそうではなく、日本に類似の医療制度を持つ国で、その点では台湾に近いのです。
  韓国が日本や台湾に似ているのは、たとえば比較的最近の1989年に完全施行された国民皆保険制度を持っている点、診療時に自己負担がある点、病院経営に株式会社が認められていない点などです。
  韓国の医療保険制度は、図に示しますようにもともと日本の医療保険制度をモデルケースとして作られたものです。1977年7月に500人以上の職場勤務者を対象とした職域医療保険制度(保険者は医療保険組合連合会)が創設されたのを皮切りに、1979年には公務員及び教職員医療保険(保険者は医療保険管理公団)が、1988年には農魚村地域住民と自営業者などを対象とした地域医療保険が設立され、1989年に国民皆保険制度が完成しました。
  日本では、1922年(大正11年)に健康保険法が交付された後、1938年(昭和13年)の国民健康保険法制定を経て、1961年にようやく国民皆保険が実現されているのと比べると、韓国はたったの12年というハイスピードで国民皆保険を達成したことになります。これは、韓国の人口が日本よりも少ないのに加えて、大統領の権限が強い中央集権的国家であり、合議を重視して決定に時間がかかりがちな日本よりも、ものごとがスピーディに進むためと思われます 。

韓国の医療制度の変還

その後も韓国では、1998年に100%の医薬分業達成、2001年にRBRVS(資源基準相対価値点数制度:アメリカの高齢者医療であるメディケアでドクターフィーの支払いに使われている点数制度)の全医療機関への導入、2002年に保険の一元化など、アメリカ的な経営手法を踏まえた新しい制度を取り入れてきました。その結果、韓国の医療制度は、DRG以外の分野については、すでにお手本であった日本を追い抜いたと言ってもよいほどの発展を遂げています。
  韓国の医療環境をみると、繰り返しになりますが、国民医療費はGDPの約6%を占めており、経済成長率を上回る速度で増加しています。具体的には、最近5年間でGDPは年平均5%前後増加していますが、健康保険給与支出は18.5%も増えているのです。これは、医療技術の発逹など構造的要因と、医薬分業以後に高価な薬が使用されるようになったことが原因といわれます。薬剤費比率も2001年で25.8%と、OECD国家中2番目の高さです。医療供給体系をみると、2003年で病院と呼ばれる医療機関の数は1,049施設あり、その中で一般の病院は769、総合病院は280です。このうち民間の病院は92%を占めており、特に三星、現代、大宇などの財閥系大企業が大病院の経営に関与していることが大きな特徴です。ただし、企業は株式会社としてではなく、財団のような形(ノンプロフィット)で参入しており、経営はあくまで診療収入に依存しています。このあたりを次回にみてみましょう。

韓国の医療システム

 

 

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